山岳部少数民族支援プログラム

タイ北部山岳地帯の少数民族出身のの子どもたちのための支援をしています。

イ山岳部少数民族の子供達の中にはタイに住んでいながら国籍を持てなかったり、家族がHIVや麻薬に侵されて、貧困から抜け出せない子供達がいます。このプログラムではそうした子供達に教育や生活の支援をしています。
現在は、現地のNGO「ユースチャリティー財団」を通じて奨学金を支給したり、学生寮を建設したりする生活支援プログラムを行っています。

山岳部少数民族の現状

○少数民族とは…

タイ国内にはおよそ100万人の山岳部少数民族(高地少数民族、以下 山岳部民族)が居住しています、その多くが北タイ各地に住んでおり、主にはモン、ヤオ、ラフ、リス、アカ、カレンの6民族があり、その他の少数民族を合わせると20を越える民族がタイ国内に存在するといわれています。彼らの多くは山岳部に住み、伝統的な焼畑農業や狩猟採取で生計を立て、民族ごとの独自の宗教、文化、衣装で生活している人々です。

○都市への移住

近年、独自の文化や伝統を守って生活をしてきた彼らの生活が脅かされるようになってしまいました。タイ政府は爆発的な人口増加、商業用森林伐採などによって起こった洪水や環境問題をきっかけに1989年タイ全土に森林伐採禁止令を出しました。この禁止令によって伝統的な移動焼畑農業を行ってきた彼らは土地と生活手段を失い、都市に移住を始める人々が増加しました。以前には出稼ぎとして一時的に都市に出ていたのが、家族を連れて永久移住という形態も増えていきました。しかし都市に出ても就職が困難で多数の失業者が出てしまいました。

○失業問題

山岳部少数民族達の就職が困難で、さらに彼等を取り巻く問題はたくさんあります。

・強い差別意識(タイ人の中には少なからず山岳部民族を差別する風潮があり、山岳民部少数民族をあまり良くない特定のイメージとしてしかとらえず、自分たちより遅れている「未開人」等と間違った印象を持つ人々もいます。)

・生活・文化の違い (移動焼き畑農業で暮らしている山岳民族と貨幣経済の中で暮らしているタイ人では暮らしに大きなギャップがあります。)

・国籍問題 (タイでは山岳部民族の大半が国籍を持っていない、近年では国籍取得者も増えてきているがまだまだ問題がある。また認められるのがすごく難しく正規の手続きを踏んでも何年も認められない事が多い。又政府の役人の腐敗によってさらに難しくなっている現状があります。)

・言葉の問題 (山岳部民族には独自の言語を持っており、特に大人がタイ語を理解できない事があります、特に都市に出稼ぎに来た山岳部民族にとっては大きな問題になっています。また最近では都市に出てきた子供達が部族の言葉を忘れタイ語だけになってしまう傾向にあり、部族の伝統を失ってしまうのではないのかという問題もあります)
・教育問題(山岳地帯では教師や学校が少なくまともな教育が受けられない、それゆえ山岳部民族の教育水準が低下し就職に必要な技能を得ることが出来ない)

などの問題があり山岳部民族の就職を困難にしています。村に戻っても移動焼畑農業が出来ない為都市にとどまりスラム街を形成して、麻薬の売人や売春婦として生きていくことを選ばざるを得なくなってしまいました。

又、山岳部民族の村でも否応なしに貨幣経済の波が押し寄せ、貨幣の獲得の為に出稼ぎに行く人や村の中でも麻薬の使用、密売が行われるなどの影響が起きてきました。

 

○麻薬・売春・AIDS問題

仕事がなく麻薬の密売や売春等を行わざるをえなくなった山岳部民族達にとって新たな問題が出てきました。

タイ国内でのHIVの感染拡大によるAIDS患者の増加です。失業の原因にもあるように教育水準が低く職を見つけがたい山岳部民族の女性達が売春行為によってHIVに感染したり、密売をしている人の中からも麻薬の使用によって注射針からから感染したりしました。さらに出稼ぎで売春をしていた女性が村に帰り夫に感染し生まれた子供に感染し、山岳部民族の村の中にもHIVが持ち込まれてしまいました。その結果親をHIV感染や麻薬の密売や使用で失ってしまった子供達がいます。そんな子供達の多くも生活のため麻薬の密売、売春などに利用されてしまう悲しい現実もあります。

 

カサロンの家(山岳部少数民族のための学生寮)

ガサロンの家(土の家)とは、キャンヘルプタイランドが現地のNGO(ラフー財団)と共同でチェンマイ郊外に建設した学生寮です。
山岳部少数民族(高地少数民族)は国籍問題、麻薬問題、教育問題など多くの問題を抱えていますが、キャンヘルプタイランドは、教育問題の改善に重点を置いて援助をしています。山岳部少数民族の村の中には学校があっても、タイ人教師が山岳部での暮らしや文化・風習の違いなどから村に馴染めず、山を下りてしまうことが多々あります。学校があっても先生がいないのです。中には、学校すら無い村も沢山あり、充分な教育が受けられない子どもがたくさんいるのが現状です。
そこで、町の近くに学生寮を造り、ここから町の学校へ通えるようにカサロンの家を建設することになりました。そして、2005年3月、ワークキャンプを実施し、日本人ボランティアと現地の職人さんや子ども達が一緒に働き、土でカサロンハウスを造りました。現在、7名の子供達が親元を離れ、学校に通っています。ここの子ども達は親元から離れて暮す寂しさや、山岳部との教育レベルや言葉の違いなどを乗り越え、よく学び、よく遊び、自立した生活を送っています。
この三月にはカサロンの第二棟の建設を行い、より山岳部民族の子どもたちが教育を受ける機会を増やしていく予定です。

  

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